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《文の種類》

 

大人になって手話を学ぶ人のために、発音と文法の知識を使おうという動画シリーズです。

え、手話に発音ってあるの?はい。でも声を使うわけではありません。まず、音声言語の例を見てみましょう。たとえば、「ナベブタ(鍋蓋)」と「ヤキブタ(焼き豚)」どっちも「ブタ」という同じ発音になりますね。しかし、もともとは「鍋(ナベ)」と「蓋(フタ)」という二つのことばがくっつくと「ナベブタ」になるのですね。雨(アメ)と傘(カサ)でどうして「アメカサ」ではなく「アマガサ」になるのでしょう。その方が自然で発音しやすいからです。 手話も単語を音(オン)のレベルに切り分けることができます。その要素は「手の形」、「位置」、「動き」の3つからなると言われています。たとえば、「鈴木」。「鈴」と「木」からなりますが、あわさると「鈴木」となります。「ろう学校」は「ろう」と「学校」の別々ではなく、「ろう学校」というまとまりになります。有名な地名の「六本木」もそうですね。つまり、複合語が1つのまとまりを表すようになると、手話にも音声言語にあるような自然な音韻変化がおきるのです。

さて、文法です。次の4つの例を見て下さい。

  • Ⅰ-1.佐藤
  • Ⅰ-2.佐藤
  • Ⅰ-3.佐藤
  • Ⅰ-4.佐藤

それぞれ意味が違う文です。わからなければ何度でも見て下さい。

何が違いますか?手ではありませんね。手はみな同じ形です。顔が違う。そうです。目の開き方、首の振り方、うなずき、眉、なんだかみんな違う気がします。でもそれってたまたまじゃない?さあ、どうでしょう。今度は別の例を見て下さい。

  • Ⅱ-1.駅
  • Ⅱ-2.駅
  • Ⅱ-3.駅
  • Ⅱ-4.駅

前の例と、顔の表情の順番は違っていますが、これはたまたまそうなっているのではなく、ルールに従っているのです。ルール、そう文法です。

首を横に振るのはジェスチャーとしても「否定」、違う、という意味がありますね。ですから、I-3佐藤とII-1駅はそれぞれ「佐藤さんではありません」、「駅ではありません」という意味になります。

さて、Ⅰ-2佐藤、この目の見開き方と上がっている眉、なんだか聞かれているように感じませんか?これは疑問文です。「佐藤さんですか?」と聞いています。駅Ⅱ-2も同じです。「駅はどこですか?」と聞いています。たとえば、英語でThis is Mr. Sato.を疑問文にするときにBe動詞と主語の順番を入れ替えてIs this Mr. Sato?とするようなものです。

発言の後にうなずきのある、I-1佐藤、II-4駅は肯定文です。「佐藤さんです」、「駅です」という意味になります。

最後がI-4佐藤、II-3駅ですが、この首の横振りはWH疑問文を作ります。例文の場合、意味は「佐藤さんはどこですか?」「駅ですか?」ということです。あごが前に出ているような感じもしますね。疑問文だから眉があがっているのかな、などといろいろ考えてみてください。英語だってWH疑問文はイントネーションがYES/NO疑問文のように最後で上がらないというルールがありました。きっとWH疑問文にはいろいろなルールが絡み合っているのでしょう。こういう眉の位置や首の振り方など、手には現れない動きのことを非手指動作(NMS)と言います。

というわけで、Iの例に訳文をつけてみると、「佐藤さんです。」「佐藤さんですか?」「佐藤さんではありません」「佐藤さんは(どこですか)?」となります。手話にはテニヲハがないって誰かいいませんでしたか?ありますよ。ただ、聴者にはとても見えにくいだけです。これからいろいろな例を使って、手話の文法を見ていくことにしましょう。