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《いろいろな否定文(存在の否定、形容詞の否定形)》

 

―存在の否定、形容詞の否定形―

今回も否定形の続きです。前回は動詞の否定形でしたが、今回はそれ以外、存在自体の否定、名詞・形容詞を使った文の否定などです。

まず、存在の否定です。動詞に続けて使う<ない>の両手を使った形<ない>はそれだけで使われると存在の否定になります。例えば「お店にりんごがない」、「トイレにトイレットペーパーがない」などです。さて、薬局にトイレットペーパーを買いに行ったら、そこにもない。1つもない、というような時には<すべて売り切れ>や<ガラガラ>を意味する手話も使われます。「教室の中に生徒がいない」、「引き出しの中にハサミがない」などが存在の否定です。

次に名詞が述語になっている文の否定文を見てみましょう。「私は学生ではありません」「彼は佐藤さんではありません」のような文です。これには<私+学生+違う>、<彼+佐藤+違う>のように、<違う>を使います。<違う>は片手でも両手でもOKですが、普通は片手だけで十分です。では次の例文はどう表現しますか。「晩御飯はカレーではありません。」できましたか。正解を見て確認して下さいね。

次は形容詞を使った文です。「このカレーはおいしくない」。<おいしくない>はやはり<おいしい+違う>で表されます。「彼は背が高くない」<彼+背が高い+違う>となります。しかし、これらの文は手話の文としては落ち着きが悪いのです。手話の文としては<このカレー+おいしい+違う、まずい>のように否定形でない形のコメントが入ることが多いのです。<まずい>のところには<味が変>、<甘すぎ>など、<おいしい>の対極にあるようなことばが入ります。<彼+背が高い+違う、低い>のような表現が手話ではよく使われます。「彼女はやせている」と言いたい場合はどうでしょうか。こういういう場合にも、<彼女+太い+違う、細い>とよく表現されています。これができるようになると、ぐんと手話がうまく見えますので、がんばって練習してください。