感音性難聴と伝音性難聴で聞こえは何が違うの?

伝音性難聴

難聴には大きく分けると二つの種類があります。「伝音性難聴」と「感音性難聴」です。「伝音性難聴」とは、音が脳にまで伝わる経路の内、耳たぶ(耳介という)から、中耳にある耳小骨までに何らかの障害があって、音が脳に伝わらない、伝わりにくいことをいいます。外耳道がふさがっていたり、鼓膜に大きな穴が開いていたり、耳小骨という骨が破損していたりして起こります。

感音性難聴

一方、「感音性難聴」は、カタツムリ管ともいわれる渦を巻いた蝸牛(かぎゅう)から脳中枢までの神経系に何らかの障害があって、音が脳に伝わらない、伝わりにくいことをいいます。蝸牛の中にはリンパ液が満たされていて、そこには有毛細胞が1万5千本ほど生えており、耳小骨等を伝わってきた物理的振動がリンパ液を介して有毛細胞を刺激することによって電気的な信号が発生して神経を伝わって脳中枢までいきます。この蝸牛内にある有毛細胞が少ないとか、元気がないことために、物理的振動から電気的信号への変換がスムーズにできなくて、「感音性難聴」となることが多いといわれています。

「伝音性難聴」と「感音性難聴」の聞こえの違い

「伝音性難聴」の聞こえは、単に音が小さくなってしまっていることが多く、補聴器を装用することにより、聞こえの改善が期待できますし、外科的手術によって損傷部位を修復することにより、障害そのものを軽減することができます。「感音性難聴」は蝸牛内の有毛細胞が原因であったにしても、どのような状態になっているのかを外部から観察することはできません。ほとんど聞こえない、または聞こえないといったように聞こえの障害が重度であることが多く、その聞こえ方も大きく歪んでいることが多いといわれています。そのため、補聴器を装用した場合には、それぞれの聞こえ方に適合するように調整が必要となりますし、その調整がベストなのかは誰にも分かりません。「感音性難聴」では、補聴器による聞こえの改善は、「伝音性難聴」ほど期待できないといえます。また、後述する人工内耳は、「感音性難聴」への適応が基本となります。